世田谷線を行く
私のテリトリーは、目黒区、世田谷区、大田区、品川区、港区が中心です。外に渋谷区、新宿区、中央区、杉並区、調布市、武蔵野市、府中市辺りも土地感はあります。もう少し広げたいと思いますが。
テリトリー内の鉄道を見ると、都心(山手線)から郊外に放射状に走っているもの(縦のライン)が中心です。東京湾方面から、京浜急行、京浜東北線、東急東横線、田園都市線、小田急線、京王線、中央線、西武新宿線、西武池袋線、東武東上線等となります。これに対して、山手線と並行方向に走る路線(横のライン)は、京王井の頭線、東急大井町線、東急世田谷線、東急多摩川線等とマイナーな路線が中心となります。でも、山手線と並行方向に走る路線(横のライン)を見ていると、東京の隠された魅力を感じることが多くあります。今回取り上げる東急世田谷線は、一見わかりにくい世田谷区の街と街のつながりを理解するのに大変役立ちます。今回は、三軒茶屋から東急世田谷線に乗り下高井戸まで行き、歩いて三軒茶屋まで帰ってきた記録です。
世田谷線は[ ⅰ三軒茶屋ーⅱ西太子堂ーⅲ若林ーⅳ松陰神社前-ⅴ世田谷ーⅵ上町ーⅶ宮の坂ーⅷ山下ーⅸ松原ーⅹ下高井戸 ]を結ぶ路線距離5kmの軌道線です。三軒茶屋で田園都市線と交差し、山下で小田急線・豪徳寺駅と交差し、下高井戸で京王線と交差しています。いずれもメジャーな駅とは言えませんが。軌道線のため環状七号線には信号があり信号待ちすることもあります。
さて、この線を地域に分けて考えると、まず①三軒茶屋から若林までの環七東側のエリア、②若林から山下までの環七と環八の間で小田急線と田園都市線の間のエリア、③山下から下高井戸までの環七と環八の間で京王線と小田急線の間のエリアという3つのエリアに分けられます。これらの地名を聞いても、パッとするのは三軒茶屋のキャロットタワーくらいなものでしょう。非常に地味な地域です。しかしこれらの地域を見てゆくと世田谷の実態が見えてきます。東京に住んでいると、タクシー等営業で自動車で動いている人を除き、山手線と並行する道路で頻繁に移動する人は少ないのではないのでしょうか?この見方、東京を理解するのに有用です。
さて、③の下高井戸から山下(京王線と小田急線の間)を見てみましょう。ここは区間はザックリ言ってしま
うと、世田谷線の東側が松原、西側が赤堤となります。そしてこれらの地域(環七と環八の間、京王線と小田急線の間)は比較的大きな画地で閑静な古くからの低層戸建住宅が多い地域となっています。京王線や小田急線沿いに比べるとやや利便性が劣りますが、道路の幅員も5m前後が多いイメージでファミリー向けには好ましい住宅街です。スーパーは松原駅の傍に「オオゼキ」がありますので、日常の食料品はここで調達する人が多そうです。
次に②の小田急線(豪徳寺駅)と交差する山下から若林の区間です。小田急線「豪徳寺」は比較的マイナーな駅ですが、ここで世田谷線に乗り換えることができます。豪徳寺(お寺)の影響か、駅の周辺は比較的個人経営の飲食等が中心です。ここから宮ノ下(豪徳寺の正門最寄り駅)までは門前町の雰囲気が漂います。そして上町、世田谷、松陰神社は「世田谷」の中心になる地域です。世田谷区役所は松陰神社が最寄り駅です。ここが世田谷区の行政の中心です。また上町を中心とした商店街など商業面でも中心となっています。
最後に①環七を渡って、西太子堂から三軒茶屋です。「三軒茶屋駅」はキャロットタワー内にありますが、キャロットタワーの住居表示は「太子堂」です。三軒茶屋は国道246号線の南側の地名です。駅名と地名が異なるのはよくあることですが。
この地域は環七以西の世田谷線とは一変し、利便性が高く、特に西太子堂の裏などはアパートが高密度に密集し独身世帯の多い地域です。キャロットタワーは地上27階地下5階の事務所・店舗ビルです。世田谷の高層ビルは二子玉川を中心に国道246号線沿いに多く存在しますが、キャロットタワーはその一角としての地位を占めています。
東京の道路は、山手線の周りを山手通、環七、環八が走り、山手通ー環七間、環七ー環八間、環八の外側と地域の特徴が異なります。特に山手通ー環七間の傾向として、繁華性が高く画地の大きさが小さくなる傾向があり、その特徴がよく表れています。世田谷線は南北方向には、京王線、小田急線、田園都市線との間が低層住宅地域であることを示しているのに対して、環七の西側地域が住環境に優れた住宅が多く東側地域が利便性の高い地域であることを示しています。(大雑把な捉え方ではありますが。)
世田谷線は、③の下高井戸から山下と②の小田急線(豪徳寺駅)と交差する山下から若林の区間とで環七ー環八間の低層住宅街の顔を見る音ができ、①環七を渡って、西太子堂から三軒茶屋で環七ー環八間と比較して山手通ー環七間の繁華性の高さを反映していることが良く表れていると思います。私は世田谷線を取り上げることで、都心(山手線)から郊外に放射状に走っている鉄道や道路(縦のライン)と山手線と並行方向に走る鉄道や道路(横のライン)が織りなす東京の姿を描きたいと思いました。しかしここまで書いて、伝えるように書くのは本当に難しいと実感しています。これからも私の感じる東京の姿を、よりリアルに伝えられるよう書いてゆきたいと思います。