人気の代々木上原もここ!(山手通り ー 環七の間の住宅街)
今回、山手通り(環状六号線)と環状七号線の間を抜ける「三軒茶屋ー(茶沢通り)-下北沢ー(中野通り)-中野ー小竹向原ー大山」を中心にご紹介します。
今回は三軒茶屋からスタートしました。「三軒茶屋の交差点」は国道246号上で成城方面に向かう世田谷通りのスタート地点及び下北沢に向かう茶沢通りのスタート地点となっており、交通の要衝です。この茶沢通りで小田急線「下北沢」を抜け中野通りに入り、井の頭公園との交差点である「大山の交差点」(この周辺に「代々木上原」はあります。)から中野を経由し、西武新宿線「新井薬師前」、有楽町線「千川」及び「小竹向原」近辺、そして東武東上線「大山」へ向かいました。「大山の交差点」と東武東上線「大山」は紛らわしいですが、別の地名です。因みに「中野通り」は大山交差点(井の頭通りとの交差点)から南長崎六丁目交差点(目代通との交差点)までですが、その先の東武東上線「大山」駅付近まで都道420号線として続いてゆきます。
さて、前回の環八の外側は土地面積の広い住宅街が多かったのに対して、「三軒茶屋」「下北沢」「中野」には、どのようなイメージをお持ちでしょうか?さらにこの範囲には、漫画家の聖地「トキワ荘」の跡地もあります!
何故「サブカルチャ―」が山手通りー環七間に集中するのか?
三軒茶屋、下北沢、中野それにトキワ荘と言われれば、その共通項は「サブカルチャー」といえるでしょう。サブカルチャーの定義は、日本の場合、カウンターカルチャーというよりオタク文化、漫画・アニメ文化、お笑いや芸能あたりまで含んだ若者文化といって法が通りが良いと思います。
そしてサブカルチャ―が山手通りと環七の間に集中するのは、地域や不動産の視点から説明ができると思います。都心に近い駅を中心に小さな飲食や多様な店舗が軒を連ね、その周囲にアパート等の小規模な単身者向けの賃貸住宅が大量に存在することにより、単身の若者が多数住み着いてサブカルチャ―を生み出していると考えます。
例えば三軒茶屋の場合、世田谷線沿いに西太子堂に向かって歩いてゆくと凄まじい数のアパートがひしめいているのがわかります。これらの街(三軒茶屋、下北沢、中野等)では多くの人々が集まりますが、これは渋谷や新宿などその地域を目指して人が集まる都心部とは異なり、その地域に多くの若者が住んでいてその住民が溢れ出ているです。
このサブカルチャーに係る街は、三軒茶屋から中野までつづきますが、中野を通り過ぎると環境は大きく変化します。東京の南部・西部については中央線沿線のより南部と北部により環境が変わります。
中央線北側の豊かな住宅街
中野から先は、西武新宿線に近づくにつれ、緑が多く落ち着いた雰囲気に変わってゆきます。そして西武新宿線、西武池袋線の山手通りー環七間は住宅地域といえるでしょう。
ただし、西武新宿線沿線と西武池袋線沿線では、住宅の種類が違ってきます。
西武新宿線沿線は、「中井」「新井薬師前」「沼袋」「野方」とアパート・マンションが多く存在します。この意味では三軒茶屋や下北沢と類似するのですが、敷地の面積が西武新宿線沿線ではやや広くなります。小田急線や京王線でいえば、環七―環八間にある水準ではないでしょうか。この近辺は神田川に合流する「妙正寺川」が流れています。この川は平成17年9月4日に山手通ー環七間で氾濫が発生していますが、古くから氾濫が多く自己居住用の住宅よりアパート等が増えたのではないかと推測しています。(平成17年から平成21年にかけて水害防止を図る工事が行われています。)
これに対して西武池袋線から有楽町線にかけては広大な自己居住用の戸建住宅街となります。私は不動産鑑定士の実務修習生の時、「低層住宅」の鑑定評価を課題としてこの地域をずいぶん歩きました。西武池袋線「椎名町」「東長崎」「江古田」、有楽町線「要町」「千川」「小竹向原」といった地域です。この地域は都心部から近いのにもかかわらず戸建住宅街が続きます。(「椎名町」「要町」は池袋から一駅!)公園や学校も多く、土地の高低(坂)も少なく住宅地として住環境に大変恵まれた地域です。また西武新宿線沿線と異なりこの周辺には主だった河川もないため水害リスクも低くなっています。中央線南側(小田急、京王方向)ではこのような広大な住宅街は環七より外側に多く見られるのですが、北側(西武線方向)では山手通りの内側にまで広大な住宅街が存在しているのです。
この一帯で最も住環境が優れていると思われるのが「小竹向原」です。上記の小竹向原の写真は「池袋」から環七まで続く幅員の広い「要町通り」に面した小竹向原駅です。大通りに面しているにもかかわらず、緑も多くなっています。住宅街に入ってもこの傾向は続き、それぞれの住宅の土地の面積も広めで建物の質も良質なものが多くなっています。要町通りで池袋まで一本で行けるほか、有楽町線、副都心線の急行停車駅であり、有楽町・池袋の他、新宿・渋谷へのアクセスも良くなっています。一戸建ての住宅を探されている方は、是非一度訪れてみるとよいと思います。
さて、最後に東武東上線「大山」駅のハッピーロード大山商店街です。ハッピーロード大山は全長約560mで、最長といわれる武蔵小山商店街パルム(品川区)800mに匹敵する大きな商店街です。大山駅の乗降者数は1日約52,000人、武蔵小山が1日約53,000人ですから、ほぼ同等の商店街です。東武東上線はまだ十分に研究できていませんので、今後の研究課題にしたいと思います。
「代々木上原」 今最も注目される街!
代々木上原は近年、特に女性から支持されている商業地域です。小田急線・代々木上原駅は東京メトロ千代田線が乗り入れ、快速急行が停車する等、小田急線では最も利便性が高い駅となっています。代々木上原駅周辺は高低差が激しく坂の多い地域ですが、多数の飲食を中心に店舗が広がります。北側には「上原駅前商店街」、南側には「上原銀座商店街」、さらに井の頭通りを越えた上原2丁目付近には「上原仲通り商店街」があります。井の頭通りには「東京ジャーミイ」という日本最大のイスラム教寺院(トルコ共和国大使館の所属)があり、国際性が演出されています。
しかし、代々木上原の人気が上がっている理由は、地域を大きくとらえた時に見えてきます。特徴は次の点です。
特徴1)周囲の高級住宅街…まずは上の地図の右下に高級住宅街で名高い「松濤」が山手通りを挟んで近接しています。さらに代々木上原駅北側で坂を上ってゆくと、「西原」も立派な住宅が多くあります。山手通りから環七にかけて中央線の南側は土地の規模の小さい商業地域と住宅地域が混ざり合った地域が多い中で、代々木上原周辺の住宅街は恵まれた住環境が周囲にあります。
特徴2)東京大学駒場キャンパス…いわずと知れた東大教養学部があります。またこの他にも東京大学の西側の「駒場通り」沿いも松濤に負けないほどの住宅街です。
特徴3)富ヶ谷の交差点を過ぎると代々木公園が近く、休日などは若者や家族連れで賑わいます。代々木公園は54万㎡と都内で5番目の面積を誇り、明治神宮やNHKとも隣接する文化の香りのする公園となっています。
このように代々木上原は、高い経済力と文化水準、さらに小田急線の快速急行の停車駅であるなどの利便性が重なって、三軒茶屋や下北沢の「サブカルチャー」とは異なり正統派文化の香りを持った都市となってるため、女性を中心として高い支持を集めていると考えます。人気の代々木上原ですが、高級住宅街にあるためアパートよりマンションが中心で家賃は高い傾向にあります。
代々木上原と類似した街として「自由が丘」が挙げられるでしょう。自由が丘も「田園調布」という高級住宅街に隣接し、東京工業大学(大岡山)にも近接しています。人口の都心回帰の流れの中で「自由が丘」のような郊外から「代々木上原」のような都心部近郊の都市へと流れが変わっているのかもしれません。代々木上原は商業地域の面積が狭いようですが、今後、周辺の住宅が商業施設へと変わってゆき商業地域としての面積の広がりや商店街としての厚みが生まれ繁華性が更に高まれば、自由が丘のように実のある商業都市に変貌する可能性もあると感じました。
(参考)地価公示
最後に上記の地域で最も高額な令和2年の住宅地の地価公示の価格(円/㎡)と容積率(%)、容積率100%当たりの価格(円/㎡)を記載しておきます。
三軒茶屋(世田谷区三軒茶屋2丁目) | ||
1,150,000円/㎡ | 300% | (100㎡)383,000円/㎡ |
下北沢(世田谷区代沢5丁目) | ||
759,000円/㎡ | 150% | (100㎡)506,000円/㎡ |
中野(中野区中野4丁目) | ||
997,000円/㎡ | 200% | (100㎡)499,000円/㎡ |
新井薬師前(中野区上高田2丁目) | ||
535,000円/㎡ | 200% | (100㎡)268,000円/㎡ |
小竹向原(練馬区小竹町2丁目) | ||
580,000円/㎡ | 150% | (100㎡)387,000円/㎡ |
大山(板橋区大山東町) | ||
564,000円/㎡ | 300% | (100㎡)188,000円/㎡ |
代々木上原(渋谷区大山町) | ||
1,170,000円/㎡ | 150% | (100㎡)780,000円/㎡ |
松濤(渋谷区松濤1丁目) | ||
1,850,000円/㎡ | 150% | (100㎡)1,230,000円/㎡ |
自由が丘(目黒区自由が丘2丁目) | ||
1,120,000円/㎡ | 100% | (100㎡)1,120,000円/㎡ |