東京周辺の鉄道(1)JR・私鉄・地下鉄の概要
東京周辺には大変多くの鉄道が走っています。一見、大混乱しているように見えますが、「JR」「私鉄」「地下鉄」という区分で分解して見ると、整理してみることができます。
「JR」は路線のいわば躯体となっています。「私鉄」は主に山手線の各駅から近郊の主要都市に向けて放射線状に伸びています。「地下鉄」は主として山手線の内側を隅々まで網羅しています。それでは詳細を見てみましょう。
JR
(全国との主要都市を結ぶ路線)
「JR」は日本全体の鉄道の骨組みを担っています。道路の場合、国道は「東海道」「奥羽街道」「水戸街道」「中山道」のように日本橋を中心に日本全国へ主要な街道が放射状に伸びていました。JRもこれと同じで東京駅を中心に全国各地の都市に鉄道が放射状に伸びています。横浜を経由し大阪へ向かう「東海道本線」、大宮・宇都宮・仙台を経由し盛岡など東北に向かう「東北本線」、水戸を経由し仙台に向かう「常磐線」、山梨・長野を経由して名古屋へ向かう「中央本線」となります。さらに、千葉方面に向かう「総武本線(東京~千葉~銚子)」があります。蘇我(千葉県)に向かう「京葉線」は東京湾沿岸沿いを走ります。京葉線は1975年開業と比較的新しい路線です。
ーわかりにくい路線ー
「京浜東北線(京浜東北線・根岸線)」「埼京線」「湘南新宿ライン」「横須賀線」「中央・総武緩行線(黄色い総武線)」「中央線快速」「常磐線(各駅停車)」は理解しにくいので、簡単に触れておきます。「京浜東北線」(大宮~東京~横浜~大船)は大宮―東京間が東北本線の一部、東京―横浜間が東海道線の一部、横浜―大船間が根岸線となっています。(東北本線+東海道線+根岸線)「埼京線」(大崎~池袋~赤羽~大宮)は大崎から・渋谷・新宿・池袋を経由して大宮に向かう列車です。大崎ー池袋館が山手線の一部、池袋ー赤羽間が赤羽線、赤羽―大宮間は東北本線の一部となります。(山手線+赤羽線+東北本線)「湘南新宿ライン」(宇都宮~新宿~大崎~横浜~小田原)は新宿駅をポイントとして、宇都宮発で東北本線(宇都宮線)から埼京線ルートで池袋―新宿ー大崎と繋ぎ、大崎から西大井まで大崎支線で接続、さらに品川から武蔵小杉を経由し鶴見に接続する東海道本線の支線である品鶴線を通り東海道本線を経由して小田原まで行く路線となっています。(宇都宮線+赤羽線+山手線+大崎支線+品鶴線+東海道線)「横須賀線」(東京~横浜~横須賀)は東京から大船までは東海道線(品鶴線経由)で、大船で東海道本線と分離し横浜に至る部分が本来の「横須賀線」となっています。(東海道線(品鶴線経由)+横須賀線)さらに総武線と接続した「横須賀・総武快速線」もあります。「中央・総武緩行線(黄色い総武線)」(三鷹~新宿~お茶の水~千葉)は三鷹~お茶の水が中央線、お茶の水~錦糸町が総武本線の支線、錦糸町~西船橋が総武本線です。(中央線+総武本線支線+総武本線)「中央線快速」(東京~高尾)はオレンジの中央線です。「常磐線(各駅停車):常磐緩行線」(綾瀬~取手)は綾瀬駅で千代田線に接続されます。千代田線の一部は常磐線に接続されず北綾瀬が終点となります。上野に向かうことはありませんので、上野発の常磐線は少なくなっています。
(環状の路線)
さらに道路の場合、環七や環八、東京外郭環状道路などの環状道路が都心部を取り巻きます。同様にJRの場合も「山手線」、「武蔵野線」+「南武線」、「横浜線」+「八高線」+「川越線」(+「東武野田線」(私鉄))が都心部を取り巻くように走っています。「山手線」は東京ー品川ー渋谷ー新宿ー池袋ー上野ー東京、と東京都心部を周回しています。「武蔵野線」は東京から千葉、埼玉を経て東京西部の府中本町に至る路線です。東京発で舞浜ー西船橋―新松戸ー南流山ー南越谷ー南浦和ー朝霞台ー新秋津ー西国分寺ー府中本町と東京都心部の外周を大きく回ります。このうち東京ー西船橋間は京葉線になります。「南武線」は川崎と立川を結ぶ路線です。川崎ー武蔵小杉ー溝口ー登戸ー府中本町ー立川が主な駅です。府中本町で武蔵野線と重なりますので、武蔵野線と併せると都心を一周近く回ります。「横浜線」は横浜と八王子を結ぶ路線です。八王子から先は「八高線(八王子―高崎線)」で八王子ー高麗川を結び、「川越線」で高麗川ー川越-大宮を結びと武蔵野線より外側の環状線となります。大宮ー船橋間を結ぶ「東武野田線」(私鉄)を加えると更に大きな環状となります。
なお、「山手線」も(東海道本線+東北本線+山手線)です。品川ー東京間が東海道本線、東京ー田端間が東北本線、山手線は田端―品川間を指しています。
私鉄等
「私鉄」はJRの発達した後に鉄道会社が敷設した路線が多く、東京の近郊都市と「山手線」を結ぶ通勤用として発展してきました。因みに山手線の内側を走る地下鉄以外の鉄道は「中央線(総武線)」のみで私鉄はありません。(ほんの僅か西武新宿線・京成本線がありますが。)私鉄だけの路線図を見ると山手線より内側がぽっかりと穴が開いているのが判ります。私鉄は山手線の駅ごとに次のようになります。
- 品川駅・・・横浜・横須賀方面「京浜急行」 / 五反田駅・・・蒲田方面「東急池上線」 / 目黒駅・・・田園調布、日吉方面「東急目黒線」
- 渋谷駅・・・自由が丘、横浜方面「東急東横線」・二子玉川、中央林間方面「東急田園都市線」・吉祥寺方面「京王井の頭線」
- 新宿駅・・・成城学園前、登戸、町田、小田原方面「小田急線」・調布、北野、橋本方面「京王線」
- 高田馬場(新宿)・・・田無、所沢方面「西武新宿線」
- 池袋・・・練馬、石神井公園、所沢方面「西武池袋線」・和光、川越方面「東武東上線」
- 上野(日暮里)・・・青砥、江戸川、成田空港方面「京成線」
- 日暮里・・・舎人公園方面「日暮里・舎人ライナー」(東京都交通局の運営です。私鉄ではありませんので表題を「私鉄等」としました。)
- 秋葉原・・・浅草、北千住、流山おおたかの森、つくば方面「つくばエクスプレス」
- 浅草(山手線ではないが)・・・北千住、草加、東武動物公園方面「東武伊勢崎線」
地下鉄・モノレール・路上電車等
「地下鉄」は山手線の内側の都心部を中心としています。地下鉄は既に宅地化しビルが建ち並ぶ地下を有効活用した列車です。地下鉄は毛細血管のように都心部の隅々を結ぶ役割を担っています。通勤の利便性にも役立ちますが、ビジネス面で特に活用されていると考えます。地下鉄についても私鉄からの申請が多くあったようですが、都市計画への影響や費用負担から運輸大臣の諮問機関「都市交通審議会」で地下鉄は営団(現東京メトロ)が行い私鉄とは相互乗り入れとすることとなりました。
東京メトロと都営地下鉄は次の13路線があり、都市交通審議会で統一のナンバーが付されています。地下鉄理解のポイントは「乗り入れ」です。
- 1号線 都営地下鉄 浅草線・・・西馬込駅(乗り入れなし) – 押上駅(京成押上線)※泉岳寺駅で京浜急行(本線・羽田空港線乗り入れ)
- 2号線 東京メトロ 日比谷線・・・北千住駅(東武伊勢崎線) – 中目黒駅(乗り入れなし)
- 3号線 東京メトロ 銀座線・・・浅草駅(乗り入れなし) – 渋谷駅(乗り入れなし)
- 4号線 東京メトロ 丸の内線・・・池袋駅(乗り入れなし) – 荻窪駅(乗り入れなし) ※中野坂上駅~方南町駅を結ぶ方南支線あり。
- 5号線 東京メトロ 東西線・・・中野駅(総武線) – 西船橋駅(総武線)
- 6号線 都営地下鉄 三田線・・・目黒駅(東急目黒線)- 西高島平駅(乗り入れなし)
- 7号線 東京メトロ 南北線・・・目黒駅(東急目黒線) – 赤羽岩淵駅(埼玉スタジアム線)
- 8号線 東京メトロ 有楽町線・・・和光市駅 (東武東上線) OR 小竹向原駅(西武有楽町線) – 新木場駅(乗り入れなし)
- 9号線 東京メトロ 千代田線・・・綾瀬駅(JR常磐線) – 代々木上原駅(京王線)
- 10号線 都営地下鉄 新宿線・・・新宿駅(京王線) – 本八幡駅(総武線)
- 11号線 東京メトロ 半蔵門線・・・渋谷駅(東急田園都市線) – 押上駅(東武伊勢崎線)
- 12号線 都営地下鉄 大江戸線・・・光が丘駅 (乗り換えなし)- 新宿駅 – 両国駅 – 都庁前駅
- 13号線 東京メトロ 副都心線・・・和光市駅 (東武東上線) OR 小竹向原駅(西部有楽町線~西武池袋線) – 渋谷駅(東急東横線)
(おまけ)設立の経緯で地下鉄とは言わないが、実質的な地下鉄
- りんかい線・・・東京臨海高速鉄道が運営する臨海副都心を走る地下鉄。新木場ー東雲ー国際展示場―東京テレポートー天王洲アイルー品川シーサイドー大井町ー大崎を結びます。
地下鉄以外に東京都心部を「モノレール」や「路面電車」も走り、地下鉄を補完しています。
「モノレール」は浜松町と羽田空港を結ぶ「東京モノレール」と新橋と豊洲を結び臨海副都心を周回する「ゆりかもめ」があります。(厳密には「ゆりかもめ」は1車両4輪のためモノレールではない。)東京都西部には「多摩モノレール」が多摩センターー立川―玉川上水等を繋いでいます。モノレールはこのような郊外型もたくさんあります。
「路面電車」には東京では唯一の「都電荒川線」があります。都電荒川線は早稲田ー大塚駅前ー王子駅前ー町屋駅前ー三ノ輪橋を結ぶ路線です。
このように東京周辺の鉄道は分解してみると比較的わかりやすいです。次回は乗降者数に着目して、どの路線が乗降者数が多いかを見てゆきたいと思います。