東京周辺の鉄道(5)JR京葉線

JR京葉線・JR総武本線・京成本線(京成千葉線)と地域

千葉に向かう路線は「JR総武本線」「京成本線(+京成千葉線)」「京葉線」です。総武本線が1894年開業、「京成本線」が1912年(千葉線は1921年)開業に対して、京葉線は1975年(1990年全線開業)と新しい路線です。総武本線と京成千葉線は「千葉」へ向かいますが、京葉線は「東京ー蘇我」を結び、千葉を経由しません。ただし「千葉みなと」は千葉と比較的近接します。また、蘇我駅では内房線、外房線と接続・乗り入れをしています。京葉線は18駅(西船橋を含む)、43kmの路線となっています。

JR総武本線・京成本線の成り立ち

JR総武本線・京成本線は「佐倉」を中心に考えるとわかりやすい路線です。

千葉市は歴史的に見ると、比較的新しい県庁所在地です。千葉県は江戸時代まで、北部の「下総(しもうさ)」と南部の「上総(かずさ)」から成り立っていますが、廃藩置県(1871年)後、下総は「印旛県」となり県庁所在地は「佐倉」、上総は「木更津県」となり県庁所在地は「木更津」でした。その後1873年、印旛県と木更津県が合併して現在の千葉県となり、県庁所在地は旧両県の中間付近の千葉市と定められました。このような経緯を基に下総の県庁所在地である「佐倉」を中心に総武本線・京成本線を見ると、「佐倉」から「銚子」「成田」「千葉」「津田沼」等の千葉県北部の中核都市へ路線が放射状に広がっているのがわかります。

JR京葉線の成り立ち

これに対して京葉線は「新木場」「舞浜」「海浜幕張」「千葉みなと」等の戦後の埋め立て地を走る路線です。もともとは京成電鉄が企画しJRが引き継いだものです。「東京ディズニーランド」を運営するオリエンタルランドは京成電鉄の関連会社ですが、これは東京ディズニーランドが京成電鉄が運営するはずであった京葉線の付随事業だからです。

京葉線が新しい路線であるため、東京駅においても他の路線のホームから約600mも南側に設置されています。渋谷駅における埼京線ホームも他の路線のホームと大きく離れていましたが、2020年6月1日に解消されました。現在、京葉線も重要性を増していることから、ホームの位置は将来の課題でしょう。

JR京葉線の駅

最初に2013年から2018年までの各駅における乗降者数を見てみましょう。

所在 2013年乗降者数 2018年乗降者数 伸び率
JE 01 東京 東京都千代田区
JE 02 八丁堀 東京都中央区 60108 71528 119.0%
JE 03 越中島 東京都江東区 8460 11470 135.6%
JE 04 潮見 東京都江東区 21150 27130 128.3%
JE 05 新木場 東京都江東区 135180 158322 117.1%
JE 06 葛西臨海公園 東京都江戸川区 24396 27458 112.6%
JE 07 舞浜 千葉県浦安市 137502 166314 121.0%
JE 08  新浦安 千葉県浦安市 109032 114516 105.0%
JE 09 市川塩浜 千葉県市川市 13138 16272 123.9%
JE 10 二俣新町 千葉県市川市 9624 9614 99.9%
JE 11 南船橋 千葉県船橋市 38520 45616 118.4%
JE 12 新習志野 千葉県習志野市 25780 27122 105.2%
JE 13 海浜幕張 千葉県千葉市美浜区 111362 136756 122.8%
JE 14 検見川浜 千葉県千葉市美浜区 30272 31368 103.6%
JE 15 稲毛海岸 千葉県千葉市美浜区 42648 43444 101.9%
JE 16 千葉みなと 千葉県千葉市中央区 29912 34382 114.9%
   蘇我 千葉県千葉市中央区

東京と蘇我に関しては、他のJRの乗降者数が合計されているため不明です。西船橋は武蔵野線との分岐となる駅で本線上になく、乗降者数も他の乗降者数と合計されているので載せていません。

この路線では、「新木場」「舞浜」「海浜幕張」が乗降者数10万人を超えているにもかかわらず、2割前後の上昇がみられます。また「越中島」「潮見」は乗降者数は少ないものの2割前後の上昇がみられます。これに「千葉みなと」「蘇我」を加えてみてゆきたいと思います。

越中島・潮見

八丁堀から越中島までのタワーマンション

工事中のタワーマンション

越中島は東京海洋大学(旧・東京商船大学)、潮見は駅前の印刷会社街で知られています。共に江東区の隅田川河口付近の運河に近い地域です。この地域は準工業地域が広がり従来は工場などが多く稼働していた地域ですが、工場の広い土地があったこと、土地価格が都心からの距離に比較して低額であったことなどから、マンション用地に転用され高層マンションが次々と建築されています。現在、東京湾に近い地域や隅田川・荒川に近い地域には工業地域が多く土地価格も比較的低額であることから隅田川や荒川流域には超高層マンションが多く建築される傾向にあります。(工業地域・準工業地域は住宅利用が可能ですが、工業専用地域は住宅利用ができないためマンションは建築できません。)

また潮見の東側はホテル街となりました。「東京ベイ潮見プリンスホテル」「アパホテル」「ホテルリブマックス」等が建ち並んでいます。

このような開発に伴い、越中島・潮見の乗降者数は30%前後の高い上昇を示しています。

新木場

新木場は有楽町線、りんかい線との乗り換え駅となってる鉄道の要衝です。新木場は埋め立て地で1978年から住居表示がされました。木場の移転先であり、港湾は木材を保管する貯木場(14号地第2貯木場)となっています。周辺も住宅は規制され工場や物流倉庫が建ち並ぶ工業地域です。江東区では首都高速湾岸線とのアクセスも良いことから新木場、辰巳、若洲の周辺が東京の物流基地となっています。

舞浜

舞浜は1964年から1975年にかけて行われた第一期埋立事業により誕生した千葉県浦安市の街です。1983年にはディズニーランド、2001年にはディズニーシーが開業しました。ディズニーしかない舞浜駅の乗降者数が京葉線で最も多いのは驚異的です。舞浜の乗降者数は継続的に上昇していますが、2018年に35周年記念で上昇幅が大きかったようです。(2019年は反動で減少とのこと)

ディズニーランド・ディズニーシーを「ディズニーリゾートライン」というモノレールが一周しています。私はディズニーランドに行ったことがない希少な人間ですが、最近、鉄道マニア(乗り鉄)になりかけているのでこのモノレールに乗るべきか悩んでいます。

海浜幕張

海浜幕張の風景

海浜幕張は1967年に海浜ニュータウン計画を発表 、1973年に海浜ニュータウン幕張地区埋め立て着工、1980年に幕張地区埋め立て工事が完了 して誕生した街です。1989年に幕張メッセがオープン、1990年に千葉マリンスタジアムオープン、同年に京葉線の全線(東京~蘇我)が開業しています。

また商業施設も近年、充実しています。2000年には海浜幕張駅に三井アウトレットパーク幕張が開業しました。2015年の第三期開発を終えて、敷地面積約22,100m2、延床面積約32,100m2、店舗面積約22,700m2(約125店舗)となっています。さらに2013年に日本最大のイオンモール幕張新都心がオープンしています。敷地面積約約192,000m²、延床面積約402,000m²、店舗面積約128,000m²(イオンスタイル+約350店舗)となっています。現在、イオンモール幕張新都心は海浜幕張駅と新習志野駅の中間付近にありますが、2023年には直近に幕張新駅(名称未定)が完成することが決定しています。

タワーマンションも多く、幕張ベイパーク スカイグランドタワー、幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス、セントラルパーク・イースト幕張パークタワー、セントラルパーク・ウエストシータワー、パティオスエリスト等が建ち並んでいます。

このように海浜幕張は東京湾埋立地域に誕生した近未来都市です。

千葉みなと

美術館と千葉ポートタワー

千葉モノレール

京葉線は「千葉」駅にはゆきませんが、「千葉みなと」駅を通過します。「千葉みなと」駅は「千葉」駅の南西約1200mにあり、名前の通り港に面した街です。このエリアには千葉ポートタワー、千葉ポートパーク、県立美術館等があり千葉市のシンボリックな地域となっています。千葉市役所にも近く、千葉市を半周回する千葉モノレール1号線(県庁前行き)2号線(千城台行き)共通の始発駅にもなっています。乗降者数が増えている理由は、観光地としての魅力や千葉の新たな玄関としての地位が向上しているためと推察します。

千葉みなと周辺も1964年から1986年にかけて埋め立てられた地域です。

蘇我

千葉市にとって、「千葉」が都心、「幕張」が新都心、「蘇我」が副都心とされています。これはJR蘇我駅が京葉線、内房線・外房線の結節点である立地特性を活用して千葉都心、幕張新都心と共に成長が期待される地域だからです。2005年にはハーバーシティ蘇我がオープンしました。アリオ蘇我等が中核となる商業施設です。蘇我は古くからある土地で新しい埋め立て地ではありません。(古くはわかりませんが…)蘇我は交通の要衝ではありますが、海浜幕張の発展と比較すると大きな躍進はないように思われます。

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