「東京」が基本

ご訪問いただいた方は①既に不動産投資を行われている方と②これから不動産投資を始める方がいらっしゃると思います。既に複数の不動産を所有もしくは不動産を増やそうとされている場合は、このページをご一読いただいた上で不動産の地域分散をお考え下さい。これから不動産投資を始める方は最初の一棟を購入されると思いますが、次の理由で最初の一棟は東京が基本と考えます。

  • 不動産は長期に保有することが一般的であり、人口が多く経済力の強い東京に不動産を所有することが将来の入居率の安定や売却時の需要(将来、保有する不動産の買手はいるのか、価格は高く売却できるのか、といったこと)にプラスに働くからです。例えば、恵比寿や中野から徒歩3分以内に品質の良い一棟のマンションを所有していれば、妥当な賃料であれば満室想定で運営でき、売却時には早期に高値で買い手が見つかると想定することができます。経済性の優れた東京は、このような優れた賃貸用不動産を取得しやすい傾向にあります。
  • 東京にお住いの場合、土地勘のある東京への投資が安全です。地域や不動産は写真や読んで得た情報からでは十分な情報が得られません。その地域の賑わい方や環境を五感を通じて理解している地域へ最初の不動産投資をしましょう。

地方への投資は、どのような視点で考えるのか?

1.自然災害から資産である不動産を守る

不動産の分散投資が必要な理由は、自然災害の観点(地震や台風)からのリスク分散と資産規模の適正化にあります。東京中心の首都圏エリアには次のようなリスクがあります。

  • 地震については、首都直下地震、特に都区部直下の場合、マグニチュード7程度の地震が今後30年間に約70%発生します。この場合、山手通より外の地域は火災の発生リスクが高く、近接した地域に複数の不動産を所有している場合は同時に被害を被る可能性があります。東京は不燃の高層ビルが多いイメージですが、山手通より外側を歩くと木造住宅の密集地域となっています。地震の際、東京の安全な地域は山手線内側です。

(中央防災会議:首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)PDF <リンクはこちらから> )なおリンクは張れませんが、NHKホームページの「首都直下地震の被害想定マップ」は非常にわかりやすいので是非ご参照ください。

  • 水害については、東京北部から東部へ流れる荒川周辺のゼロメートル地帯にリスクが高い状況です。下の地図のように荒川周辺では最大浸水深が5m以上の地域が広域に及ぶことがわかります。荒川が台風などにより氾濫し大きな被害が発生した場合、このような地域の住民が流出して東京は長期にわたり混乱することが予想されます。

 (国土交通省国土数値情報及びOpenStreetMapに基づき作成)

ー 東京東部は何故ゼロメートル地帯なのか? ー

東京東部には「南関東ガス田」が存在し、戦後しばらく続いたガスの採取と工業用水の汲み上げにより、江東区及び江戸川区を中心に地盤沈下が発生したため東京東部のゼロメートル地帯が生まれました。

2.不動産の地域への投資により資産規模を適正化する

  • 「東京」に不動産を求める場合と「福岡」、「札幌」、「仙台」などの地域に不動産を求める場合、これらの地域で不動産を求めた方が資産の圧縮効果が大きい場合が多くあります。何故なら同じ価格の不動産を比較した場合、土地価格が東京よりこれらの地域の方が低額で建物価格が高額になるからです。
  • 例えば1億5千万円を予算とすると、東京では土地価格1億円、建物価格5000万円の木造アパート等に対してこれらの地域では土地価格4000万円、建物価格1億1000万円の鉄筋コンクリート造マンション等となります。建物価格は経年により減価が進んでゆきますので、資産として圧縮されるのです。
  • ただし東京の不動産をこれらの地域の不動産に買い替えた場合、資産が圧縮されるために東京の物件を同額で再び入手することは難しくなります。従って自分の資産状況や今後どのようなニーズがあるのかを十分に考慮の上、東京に求めるのか、これらの地方に求めるのかを判断する必要があります。

どの地域へ投資すべきか?  ~自然災害と経済の観点~

1.自然災害の観点から考える

  • 投資すべき地域を考える場合、自然的観点(安全性)と経済的観点(将来性を含む)が重要と考えます。まず、自然的観点で特に地震リスクから見てみましょう。< 詳しくはこちら >

全国地震動予測地図2018年版 (出典:地震調査調査推進本部ホームページより)

主な海溝型地震の評価結果 (出典:地震調査調査推進本部ホームページより)

主要活断層の評価結果 (出典:地震調査調査推進本部ホームページより(一部加工あり))

2.経済的な観点から都市の人口の推移を通して考える

  • 次に経済的観点から都市ごとの人口と将来の推移についてみてみましょう。(総務省のe-statからデータを収集し、将来の人口は2017年の調査に基づきます。)
都市の名称 2015年度 2030年 (予測) 2040年 (予測)
神奈川県 横浜市 3,724,844 3,668,329 -1.52% 3,529,740 -5.24%
大阪府 大阪市 2,691,185 2,618,759 -2.69% 2,488,747 -7.52%
愛知県 名古屋市 2,295,638 2,288,779 -0.30% 2,220,432 -3.28%
北海道 札幌市 1,952,356 1,959,483 0.37% 1,870,991 -4.17%
福岡県 福岡市 1,538,681 1,667,501 8.37% 1,671,888 8.66%
兵庫県 神戸市 1,537,272 1,458,926 -5.10% 1,354,561 -11.89%
神奈川県 川崎市 1,475,213 1,561,833 5.87% 1,562,480 5.92%
京都府 京都市 1,475,183 1,423,318 -3.52% 1,343,401 -8.93%
埼玉県 さいたま市 1,263,979 1,318,050 4.28% 1,302,432 3.04%
広島県 広島市 1,194,034 1,193,985 0.00% 1,150,616 -3.64%
宮城県 仙台市 1,082,159 1,048,353 -3.12% 972,871 -10.10%
神奈川県 横浜市
2015年度 3,724,844  
2030年 (予測) 3,668,329 -1.52%
2040年 (予測) 3,529,740 -5.24%
大阪府 大阪市
2015年度 2,691,185  
2030年 (予測) 2,618,759 -2.69%
2040年 (予測) 2,488,747 -7.52%
愛知県 名古屋市
2015年度 2,295,638  
2030年 (予測) 2,288,779 -0.30%
2040年 (予測) 2,220,432 -3.28%
北海道 札幌市
2015年度 1,952,356  
2030年 (予測) 1,959,483 0.37%
2040年 (予測) 1,870,991 -4.17%
福岡県福岡市
2015年度 1,538,681  
2030年 (予測) 1,667,501 8.37%
2040年 (予測) 1,671,888 8.66%
兵庫県 神戸市
2015年度 1,537,272  
2030年 (予測) 1,458,926 -5.10%
2040年 (予測) 1,354,561 -11.89%
神奈川県 川崎市
2015年度 1,475,213  
2030年 (予測) 1,561,833 5.87%
2040年 (予測) 1,562,480 5.92%
京都府 京都市
2015年度 1,475,183  
2030年 (予測) 1,423,318 -3.52%
2040年 (予測) 1,343,401 -8.93%
埼玉県 さいたま市
2015年度 1,263,979  
2030年 (予測) 1,318,050 4.28%
2040年 (予測) 1,302,432 3.04%
広島県 広島市
2015年度 1,194,034  
2030年 (予測) 1,193,985 0.00%
2040年 (予測) 1,150,616 -3.64%
宮城県 仙台市
2015年度 1,082,159  
2030年 (予測) 1,048,353 -3.12%
2040年 (予測) 972,871 -10.10%

3.関西、中京への投資をどう考えるか?

  • 東京圏以外の地域として、まず想定できるのは関西(大阪、神戸、京都)と中京(名古屋)でしょう。この地域は人口も多く経済的に東京圏に次いで強い地域です。不動産の収益性を重視するのならこの地域は良い地域といえます。
  • 一方、自然的な観点から、南海トラフ巨大地震が想定され、その被害は九州の太平洋側から神奈川県まで及び関西圏や中京圏を含みます。南海トラフ巨大地震については、マグニチュード8~9クラスの地震が30年以内に70%~80%発生します。さらに若狭湾、淡路島、伊勢湾を結ぶ地域には活断層が多く集中し、近畿三角地帯と表現されることもあります。
  • 自然的な観点から、リスク分散で東京以外に投資をするのに南海トラフ巨大地震の影響を受けやすい関西圏・名古屋圏に投資するのは私はやや躊躇します。しかし経済圏が強いという観点からこの地域は居住用賃貸不動産に対して強い需要がある地域ですからこの地域への投資を前向きに考える人も多いと思います。

福岡・札幌・仙台という選択

1.各地域の特徴

福岡・札幌・仙台は首都圏、関西圏、中京圏に次ぐ経済規模を持つ地域です。

  • 「福岡」は人口159万人、将来とも人口の増加が予測される地域です。人口の増加が今後も強く見込まれる地域になっており、経済的な魅力があります。自然については福岡最大の街区である天神の付近を走る警固断層帯が課題といえますが、30年以内の地震発生の確率は6%と予測され、都心部直下型地震や南海トラフ地震と比べると低い水準にあります。また河川が多いので氾濫流域には注意する必要があります。
  • 「札幌」は人口197万人と福岡より大きな都市です。将来的には2030年頃から人口の減少が始まると予想されています。市街地は京都のように碁盤状に整備され、札幌駅を中心に、東西南北とも核となる地域を持っています。自然については地震は発生しにくい地域です。河川については札幌中心部を流れる豊平川に注意を払う必要があります。
  • 「仙台」は人口109万人ですが、福岡や札幌と比べ東京への距離が近く新幹線での移動が一般的です。人口はやや減少傾向にあります。地震については東日本大震災で見られるように海溝型地震のリスクと長町ー利府断層帯(30年以内に1%以下の地震発生確率)があります。また河川については、市の南部を名取川、中心を広瀬川、北部を七北田川が流れていますが、名取川と広瀬川の合流する地域の氾濫時に注意が必要です。仙台は前回の震災により震災時の被害が発生する地域がわかりやすい地域であり、市役所を訪問した際も災害に対する感覚が鋭く対策も強い地域と感じています。

2.「東京」への投資とこれらの地域の投資による資産規模の適正化

  • 東京と各地域の不動産を比較するうえで、令和2年の住宅地域の公示価格の㎡単価平均を用いて価格水準を比較します。
  • 令和2年の地価公示において、東京都世田谷区、福岡市中央区、札幌市中央区、仙台市太白区長町周辺(※)を比較すると次の通りです。各地域の現実の投資対象として望ましい立地を選択しています。(※太白区は広範囲にわたるため、投資対象として適正のある長町周辺を国道286号線、広瀬川、名取川で囲まれた地域にある標準地としました。)

東京都世田谷区  636,189円/㎡

福岡市中央区   353,273円/㎡ 
(世田谷区対比 55.5%)

札幌市中央区   171,131円/㎡ 
(世田谷区対比 26.9%)

仙台市長町周辺  135,556円/㎡ 
(世田谷区対比 21.3%)

  • このように東京と各地域では土地価格が大幅に異なるため、これを利用して資産規模の適正化を図ることができます。東京から各地域へ不動産投資をすると土地価格が低いため規模の大きな土地に鉄筋コンクリート造のマンションを建てることが容易となります。この際、土地価格は低く建物価格が高くなるため建物の減価償却が進むにつれて資産規模が小さくなりやすいのです。相続時などには資産規模を小さくすることにより、対策が立てやすくなります。
  • 一方、一度各地方へ不動産投資をした場合、年次が進むにつれて資産規模が小さくなる傾向にありますので、東京に元の不動産を求めることは困難になります。

3.各地域の不動産を用いた福利厚生等 ~収益以外の使い方~

福岡、札幌、仙台への賃貸マンションへの投資を行った場合、収益以外の利用として一室を自己使用することが可能です。個人で投資をした場合は別荘代わりに利用し、事業法人として購入した場合は社員の福利厚生用の宿泊施設として利用することをご提案します。福岡、札幌、仙台とも繁華性も十分高いのですが、自然や文化の観点から観光地ということもできる地域です。また、賃貸マンションの一室であれば別荘と比較して管理も簡単です。賃貸不動産の一室を利用した福利厚生にあった使い方を是非お考え下さい。